「三蔵、今日さん。浴衣着てくるらしいですよ。」

それがどうしたと言うような目で八戒を見ると、

「なーにー?チャン。
 こんな生臭坊主の為に・・・健気だなァ。」

悟浄が会話に割り込んでくる。


「仕事中だが?」

額に青筋を立てながら言うと、

「・・・三蔵。さんの浴衣姿を見て、

何も言わないなんて、絶対駄目ですよ?」

無視して会話を進める八戒。


パソコンのキーを打つ手は止まってはいないが。


「貴様に指図される覚えはねぇよ。」

「指図では無く。さんのためを思って言ってるんです。」

「ハッってか・・・何も言わないわきゃァねぇよな?」


馬鹿にしたような物言いにムカッとするが、

何も言い返す事無く、黙って手を動かす。


チャン可哀想だなァー。

折角お洒落しても何も言われないんじゃ・・・。」


時計を見、ガタッと急に立ち上がる三蔵。

「・・・・・・・・・・。」

「お気を付けて〜。」

それを見送る悟浄と八戒。




そろそろとの約束の時間。

時計に目をやりながらエレベーターを待つ。

もう下に来てるかも知れない・・・と思っていると、

案の定、恋人からの携帯への着信音。


鞄から取り出す間も、歩みを止めない。

エレベーターを降り、外へ出る。


   ピッ

「俺だ。」

「・・・あっ 三蔵?私、だけど・・。
  仕事・・・何時頃に終わりそう?」

向こう側から聞こえる声、それと同時に見つけたの姿。


正直、綺麗だと思った。

いつもの可愛らしい姿とは違い、
 髪の毛も結い上げ、色っぽい。


「もう終わった。」

「・・・・へ?」

急に大きく聞こえるとは思ってなかったらしい。

素っ頓狂な声をあげる


「三蔵っ!」

振り向き、本当に嬉しそうな表情をする。

「もう終わったの?!」

そんな表情が、また見たいと思った。


「ああ。そんな事より・・・・似合うじゃねぇか。」

スッと口を出た言葉。

喜びの表情というより、やはり信じられないと言う表情。


「・・・何呆けっとしてやがる・・・行くぞ?」
「あ・・・うんっ!」

横を歩く

先程の言葉を思い出しているのか、

嬉しそうな表情を浮かべながら付いて来る。



   ***


「60点だな。」

「ええ、そんな所ですね。」

物陰に潜んでいた悟浄と八戒が話す。

「似合うじゃねぇか、ですか。まぁ彼らしいですけど。
   ・・・・・「綺麗」位言わないと駄目ですよね。
  マイナス10点です。」

「それに・・・何呆けっとしてやがるは無いっしょ。
  マイナス30点。」


 「「ま、上出来だな(ですね。」」


   ***





「何だか・・・今日の三蔵は紳士だね。」

急にが口を開いたから、何かと思えば・・・

「今日のは余計だ。」

と返しておく。


だんだんと人が多くなりだした。

はぐれないようにとが俺の腕につかまる。


やはり格好はいつもより綺麗でも、仕草はいつも通り。

心底、愛しいと思う。





「あ、此処だよ三蔵。」

そこは、大きな川の土手。

少し草が生えて、小さな野原のようになっている。


そこへ腰掛けるの隣に腰掛ける。


と、同時に・・・
   ドドォンッ・・・。

と、一発目の花火が打ち上げられた。


 「うっわ――――・・・。」

が歓声を上げる。

一発目につられる様に 二発三発と、
どんどんあがる花火。

   ドン ドドーンッ ドンッ


「綺麗・・・」
「ああ。」

 同意する。

同じ事を同じ時に思っていたから。



しばらくして、俺の肩に頭を乗せてくる。

髪の毛のいい匂いが鼻孔をくすぐる。

そのままで居て欲しくて、黙って肩を貸す。


この時が、凄く幸せだと感じた。



「私・・・この国に。自分に生まれて良かったーって。

今なら本気で思えちゃうなぁ。」


   ドンッドドンッ

が話す間にも、次々に上げられる花火。


「だってさ。知ってる?
 こんなに綺麗な花火見れるのって日本だけだし。
 いいよねぇ――――・・・日本。
 それにさ?・・・・・三蔵に出会えた。」


「それは俺の台詞だ。」

本気でそう思う。

に会い、これ以上愛しい人には、出会えないと思える。


「好きだ・・・。」

滅多に吐かない愛の言葉と、名前。

離れて欲しくないと願うから。


の腰に手を回すと、

も片方の手で俺の手をしっかりと握り、呟く。


「わたしも。」




   ドォ・・・ン。

大きな花火に映し出された、

2つの影が重る。


   それは、ある夏の日の、ある夜のお話。




《明の感想》
三蔵視点まで頂いちゃいました♪
明の大好きな悟浄まで出てきて・・・
パラダイス!ですね(笑)
本当にアリガトウございます!