今日から変わるナニカがある。















                      今までのふたり これからのふたり















厚い雲の隙間から、月明かりが足元を照らす。

暗部という前線から離れ、昔よりも少し鈍った勘を戻すべくカカシは今日も修行に励んでいた。

張り詰める空気の中、感じるもう一つの気配。

それでも動じることなく一点を見つめる。






「うわぁっ、うわぁぁー!」






見つめた先から叫び声がし、カカシはそれに近づく。

20m程歩くと、縄に足を縛られ宙吊りになっている女の姿が目に入った。

「・・・、また?」

カカシはため息をつき、を縄から開放した。

「もう、痛いじゃんか!あたしに恨みでもあるっての?」

縛られていた足首を擦りながら涙目でカカシに詰め寄った。

「恨みってねぇ・・・。毎日毎日あんなトラップに引っかかっちゃうのはどうかと思うよ?それでも中忍でしょ」

「あたしは任務以外は気張ってないの!」

そう言い、頬を膨らませツンとそっぽを向く。

「ハイハイ、じゃー帰るよ」

カカシはの背中をパンと叩き、帰路につく。




とカカシはお隣サン。

しかし九尾の事件の時、当時8歳だったは家族をみんな亡くしてしまった。

それ以来、カカシが面倒を見ている。




「うわぁぁ!!カカシ兄、カカシ兄!!」

急にが叫び、その場に蹲った。

カカシは気を尖らせ、ゆっくりと辺りを見渡す。

視界に怪しいものは何も見当たらず、音も風が木々すり抜けて擦れる音と自分たち息遣い以外聞こえない。

「どうした?」

カカシの呼びかけにはブンブン腕をふりながら無言で前方を指差した。

音を立てないようにその方向に向う。

「・・・早く殺して」

今にも泣きそうな声で訴えかけるの声。

カカシは思わず首を傾げた。
















「・・・何を?」




敵はおろか、この周囲には獣一匹の気配も感じない。

この状況で一体何を殺せって?木々を燃やせとでも?

「いるでしょそこに!」

「・・・木?」

「違う!蜘 蛛 !」

「蜘蛛?」

よーく目を凝らすと、確かにの言うとおり蜘蛛がいた。

しかも2cmくらいのちっちゃいのが。

「はぁ・・・」

カカシは暗闇でも分かるほど肩を落とし、クナイをそれに打ち込んだ。

「よーし!帰ろう!」

さっきまでたかが数センチの蜘蛛に怯えてたは何処へやら・・・。

カカシは呆れた笑みを浮かべた。

「よくあんな小さいのに見つけたね」

「嫌いなものはどこに居てもわかるの」

「・・・蜘蛛が怖くてよく任務が出来るな」

「それとこれとは別物だもん」

「あっそ」と苦笑いを浮かべるカカシ。











「うわぁぁ!」






そんなカカシを尻目に三度目のの悲鳴が上がった。

その場に倒れこんだの前にしゃがみ込み、様子を伺う。

「・・・今度は、ナニ?」

「木の根に引っかかった」

「はぁ・・・」

ただ森から家まで帰るだけなのに、は何故かボロボロ。

それはカカシ曰く「いつもの事」なのだけれど。

仕方なくの膝裏に腕を回し、抱き上げた。

「あたしケガなんてしてないよ!?」

「このままじゃ朝になっちゃうでしょ。ま!落ちないようにしっかり掴まってなさい」

そう言うとをしっかりと抱き、一気にスピードを上げた。































*




「全く俺がいなきゃなーんにも出来ないな、は」

夕食後、コーヒーを片手に愛読書に勤しんでいたカカシが急にそう言った。

「え?何?」

洗い物をしていたは、水音でよく聞こえず聞き返す。

は俺が居なきゃ生きていけないでしょ?」

「そ、そんなことないって!」

「嘘だな。俺が居なきゃ生きていけない。昔っから怖い時、寂しい時、困った時・・・いつも俺を呼ぶ。

実際今だってそうだろ?任務以外では俺に頼りっきりだ」

はキュッと水道の蛇口を閉め、カカシの前にちょこんと正座をした。

「よく考えれば迷惑だよね。今までずっと甘えてきたけど、あたしももう20歳だし一人でやってかなきゃいけないんだよね。

気付かなくてごめんなさい」

「いや、そういう意味で言ったんじゃないよ。そろそろ家1つにしない?って事」

「1つ?家売りたいの?」

カカシは手に持っていた本を閉じ、と同じ目線で話し始めた。






「・・・じゃあ、一緒に住まない?って聞けば分かる?

俺は好きでもない女の面倒を長年見れるほどお人よしでも無いし、実際お前を想ってなかったらここまでしないでしょ」






「で、でもそれは家族としてじゃ」

「初めは妹みたいに想ってた。でも今は違う。一人の女としてだ。

だから俺が傍に居なきゃいられないようにしてきた。そういう風に俺がしたんだ」

「カ、カカシ兄?」

戸惑うの唇にカカシは人差し指を立てちょんと触った。

「カ カ シ、だろ?」

「カ、カカカカカシ?」

「そんなに“カ”多くないでしょ。ま!徐々に慣れてけばいいよ」

カカシは再びゴロンと体を横にし、本を手に取り読み出した。



しかしはちょっと待ってと言わんばかりの勢いでその本をカカシから奪い、自分の脇に置いた。

本を取られたカカシはをじっと見つめる。



「えっと、カカシはあたしの事、す、好きなの?」

「好きだよ。は?」

「す、好きだよ」

照れ隠しでそっぽを向いて言う

カカシはさっきの唇に触れた人差し指を自分の唇に押し当てた。

「あ、間接キスだね」

「な、何言ってんの!」











「なんなら直接しとく?」











の頬に手を添え、その形の良い唇を親指でなぞる。

身を乗り出し、互いの吐息を肌で感じるほど近づいたその時・・・――



「け、結構です!」

恥ずかしさに耐えられなくなったは顔を真っ赤にして立ち上がり、くるっと後ろを向いた。

そんな姿を目にしたカカシはあまりの可愛さに笑みを零す。

「ま!夜はまだまだ長いしね」

「バカ!」
















家族のいないあたしにとってすごく大きな存在。

それは今でも変わらない。

でもあたしのためにいつも差し伸べてくれた手は、もういらないよ。

だってこうやって、ずっーと繋いで行くんだから。



繋いだこの手の中に、これからの2人を刻んで行こう。

昨日とは全く違う関係の2人を・・・


















− F I N −







アトガキ

67676番明星サマのキリリクでした。

もう土下座モンです。ハイ。こんな駄文でゴメンネ明ちゃん(泣)

ヒロインもダメダメな感じじゃないし、カカシも似非だし・・・。

こんなんでも良ければ貰ってやって下さい。(2004/6/7)


《明から・・・》

3度目のキリリクに答えてくださったアユムさま!!

どうもありがと〜!!

アユムさんの書く作品は全部カッコいいです♪

ギャグもあったり、と色々豊富ですよネ!!

本当にありがとうございました〜!!