窓際ソファー
「おはよーございます…。」
「おはよ…。」
人生色々。
今日は任務は無く、待機命令。
戸を開けると、ソファーに座る人物がすぐに目に入る。
銀髪に、顔の半分以上をマスクで覆い、その上左目を額宛で隠している。
怪しい雰囲気なのだが、それがまたクールさを醸し出していた。
挨拶をすると、挨拶を返す。
当たり前の事が嬉しいと思うのはこの人と挨拶を交わしたからだ。
「……任務…ないんですか?」
「…ん?……ああ。」
片手にイチャイチャパラダイス上巻。
この前は下巻を読んでいたように思うが、読み返しているのだろうか。
ぼーっと本を読みふけっている。
気まずい雰囲気が嫌で、お茶を煎れにポットの置いてある近くへ。
「あっ……紅茶がある……。」
そう呟くとその紅茶を手に取る。
じ〜っとそのパックを珍し気に眺める。
「……それ紅が持ってきた奴……おいしいらしいな…。」
「へぇ〜そうなんですか……っていつの間に後ろに居るんですかっ!?」
驚いて後ろを振り向けば、銀髪が目に入る。
にっこり笑っている。
この笑顔に皆いちころなのだ。
私もその中の一人。
「……お前は……それでも上忍か?」
呆れた声に気落ちする。
憧れの人にそんな事を言われれば誰だって気落ちするだろう。
ショックだった。
こんな事しょっちゅうだったりするのだが。
「……すみませんね……。」
そう言いながら作業を続ける。
紅茶の香が辺りを包んでいく。
背後でボソっと呟いた。
「…俺も紅茶飲みたいな……。」
バっと後ろを振り向くと、カカシは既にもとの場所。
ソファーに座ってまた愛読書に目を落としていた。
(煎れろってことかい…)
はもう一つカップを手に取り、紅茶を煎れ始めた。
「ん……サンキュ…。」
紅茶をカカシに差し出して、カカシの向かい側、背後に窓のあるソファーに腰掛ける。
カカシがチラとの方を見て言う。
「…こっち座ったら…?……話しにくいでしょ…そこじゃあ…。」
そう言ってトントンと横を叩く。
カカシの意図が分からない。
「……別に話すことないですよ?」
素っ気なく返すとカカシは目を細める。
まるでにらみ付けられているようだ。
視線が痛い。
「……座れば?」
少し低い声が響いた。
コレは申し出ではなく、命令だ。
いくら同僚でも新米上忍であるにとって先輩命令ならば従わないわけにはいかない。
渋々立ち上がってカカシの隣に腰掛ける。
コレで良いですか…とカカシの方を見ると、笑っていることから良いらしい。
じ〜っとカカシを見ていると、カカシはそれに気付いて言葉を紡ぐ。
「そこには座るな……。特にお前は絶対。」
「どうしてですか?」
訝し気にカカシを見れば、カカシは苦笑して話さない。
どうやらもとより理由は話さない気だったらしい。
聞いても答えてくれそうにないので、黙っている事にした。
この人のことだから正当な理由があるのだろう。
「……あのさ…」
「はい?」
おずおずと話し出したカカシを見上げる。
ポリポリ頬を掻いてをチラリと見ると目があった。
気まずい…。
「……彼氏……居るのか?」
カカシの問いにキョトンとする。
「……い、いませんけど…?」
「そっか……。」
そこで会話が途切れる。
何が言いたかったのだこの上忍は。
但気まずかったこの雰囲気に絶えられなくなっただけだろうか。
「でも、」
とは切り出した。
カカシは首を傾げる。
「でも、好きな人は……居ます。」
「!?」
驚いてを見る。
はほんのり赤く頬を染めていた。
「そ、そっか……」
明らかに同様しているのだが、はそれに全く気付かない。
は決心したように話出した。
「……その人と居ると…すごくドキドキするんです。……心音が相手に聞こえちゃうんじゃないかって、時々心配で……。でも、その人は私のことなんか但の友達感覚なんだろうし……女性にもててますし…、まぁ、私なんかは思っているだけで良いんですよ……その人を見てるだけで、温かいんです…。」
がアハハと笑う。
カカシは急に立ち上がってに鋭い眼を向けて言い放つ。
「……見てるだけで良い?…ふざけんな…。俺達忍は明日…今日にでも死ぬかもしれない…。後悔しない幸せな人生でしたって言える自身があるのか?……思いは口に出さないと伝わらないんだ……気付いたときは遅いんだ……。」
カカシはそう言って苦そうな顔をして立ち去った。
後に残されたはその様子をボー然と眺めていた。
「馬鹿だな……俺は……。」
カカシはツカツカと廊下を歩いていた。
あんな事に取り乱して。
にあんな事言って。
知らない相手にヤキモチ焼いて。
に言った事だって自分自身に言ったようなもんだ。
に言えた義理じゃない。
自分だって見ているだけで良いと思っているんだ。
「………後で謝んないとな……。」
「謝る必要ありませんよ?」
独り言で呟いた言葉に反応があり驚いて後ろを振り返った。
はぁはぁと言う息づかいが聞こえる。
「……」
「……それでも上忍ですか?…」
カカシに言われた言葉をそのまま返す。
カカシは面食らった様に破顔した。
「……悪かったな……。」
カカシは頭をポリポリ掻いてそう言った。
はそんな事はおかまいなしに話し出す。
「その人は、いつもクールで笑顔が素敵なんです。」
「何の話ーーーーー」
「でも、瞳はいつも悲しそうで、悲しい過去を持っていて……。任務になると仲間のことを第一に考える人で…。」
「………」
カカシの顔をチラリと見ると、はにっこり笑って言う。
「いつも片手に18禁の本持ってて、顔の半分がマスクに隠れていて左目も額宛で隠れてて、とても怪しい人なんです…。」
「………」
「……つまり……私が好きなのはーーーーー」
言葉が途切れたのは、カカシの眼が見開かれている事に気付いたから。
後悔…はしたくない。
決心できたのはカカシに言われたから。
誰あろうカカシの言葉だからだ。
好きな人だから。
「……カカシさんです……。」
「……俺はーーーー」
「良いですっ!!返事は分かってますからっ……カカシさんと私では不釣り合いなんです…。」
そう言っては駆け出した。
が、腕をしっかりとつかまれそのままカカシの腕の中に入る。
心臓がドキドキ五月蝿い。
聞かれるのがとても嫌で、カカシから離れようともがく。
が、やはり力では叶うはずもなかった。
「放してくださっーーーー」
「俺も……」
ピタっとの動きが止まる。
カカシの顔を恐る恐る見上げる。
カカシはにっこりと笑っていた。
「俺も……好きだった……」
「カッーーーーー」
口を塞がれた。
温かい重みが唇に感じる。
紅茶の香りが鼻をつく。
レモンの味がした。
「酸っぱい……。」
「…ぁあ……酸っぱい。」
カカシとはお互いに笑い合う。
「「好き」」
「カカシさん?」
「呼び捨て……。」
「カカシ……」
「何?」
「……人生色々のソファー座っちゃ駄目って言ってたでしょ?窓際の……」
「ぁあ………な、何でも無いよ〜。」
「気になるなぁ〜」
「ハハハ……」
『外からあそこは丸見えで、襲われやすい位置なんだよ…。男にとったら絶好の獲物が捕まる……窓際は美人な女性が好んで座るんだと……確かな情報筋が教えてくれたから。』
そうが忘れた頃に言ってやったら、驚いてその後俺らしいって笑ったな。
「情報筋って紅でしょ?」
「…………」
END
2004/4/29(木)
あとがき
20202hitキリリク夢。明星様に捧げますカカシに駄目もと告白。
大分リクから遠ざかっているように感じますが…。
窓際ソファーは推測にすぎません。
女性なら誰しもが窓際好きだと思うんですけどね…。
まぁ、好き嫌いがありますから…。
人それぞれですよね。
感想はBBSかメールにて頂けると嬉しいです。
明星より
20202のHITにより頂きました!!
もうカッコいいです!
カカシ〜!!(壊)
本当にありがとうございます!!
頂いてばかりですね(土下座)
感謝感激です!!
ありがとうございました!